量子テレポーテーションは実現可能か?


あ、なんか難しそうなタイトルですが中身はいたって当たり前のこともしくはそれ以下の記事なのであしからず。
眠い目擦って書いてるので間違いがあればご指摘ください。




量子力学のジャンルの一つに量子情報というものがあります。
平たくいえば粒子の量子力学的なふるまいを利用して情報通信を試みよう、というもの。
え? 「今のコンピュータだって量子力学なしではお話にならないじゃん。トンネル効果とか知らないの? 知ったか乙www」だって?
その通り。今だって十分量子力学は役に立っています。
しかし今話そうとしている量子情報というのは、そういった粒子の「性質」の部分ではなく「本質」を取り扱うのです。


シュレディンガーの猫、というものはご存知でしょう。
一般に「不確定性原理」と呼ばれているこの現象は、じつは情報の転送に応用することが可能なのです*1
難しい理論や方程式などは専門のホームページにお任せするとして、簡単な説明をば。
うーん、どこから説明したらいいものか・・・


まず、量子もつれ(Quantum Entanglement)という状態になっている2粒子を考えます。
量子もつれのWikipediaの定義は、

量子もつれ(りょうしもつれ、Quantum entanglement)とは、複合系がそれを構成する個々の部分系の量子状態の積として表せないような状態にあるときに、非局所的な相関が現れる現象のことをいう。このときの複合系の状態をエンタングル状態という。量子もつれは、量子絡み合い(りょうしからみあい)、量子エンタングルメントまたは単にエンタングルメントとも呼ばれる。

となっていますが、なんのことだか分かりませんね。
っつーかいつもながらWikipediaの説明は下手すぎる。難しくすりゃ格好がつくなんて思ってんじゃないだろうな。
とと、話が逸れた。
量子もつれは噛み砕いて説明すると、「複数の粒子がある絡み合った状態のとき、どんなに離れていても(何億光年だろうと(!))瞬時に互いに関係しあう現象のこと」です。


唐突ですがここでアリスとボブ*2という人が恋仲で、その2人が連絡をとりあうシチュを考えます。
そして以下の操作を行います。

はじめにアリスが量子もつれを発生させる機械をつかって絡み合った2粒子ABを発生させる。

このとき2つのうちAは自分で持っていて、もう1つをボブに送信。

その後アリスが自分の粒子Aを観測すると、移動中の粒子Bが即座に反応し、アリスの粒子と対応する粒子となる。


こんな感じです。
するとアリスのもっているAの状態をボブが知ることができる、という寸法です。


とまあこれが基本的かつ一般的な考え方かと思います。
これを応用してアリスとボブの中間に置けば*3光速の2倍で相手の受け取った情報を得ることができるとかできないとか。
が、何か変だと思いませんか?
そう、これじゃあアリスの送りたい文章を送ることができません。
なぜなら粒子のもつ「不確定性原理」というものは、人間の意図を反映させることができないからです。
測ってみないとその粒子の状態が分からないので、ただのノイズを延々と送受信することになってしまいます。


僕も先生に初めて教えられたときは悩みました。
これじゃ量子テレポーテーションなんて無意味じゃないか、なにか間違ってるんじゃないのか、と。
いやいや、これで正しいんです。
というのも、これをさらに応用させてはじめて意味をもち始めるんです。



次に上の方法を応用します。

その後アリスが自分の粒子を観測すると、移動中の粒子が即座に反応し、アリスの粒子と対応する粒子となる。

この作業の前に、

アリスの粒子Aと、あらかじめ量子状態(不確定性原理が適用できる状態)にしたボブに送りたい別の粒子Xを、なんらかの方法で相互作用させる。

これをAと作用させることによってBにXの粒子の情報を持たせることができます。
あとはボブが

Bをこれまたとある方法でXの情報を取り出す。

するとアリスはXの粒子という任意の情報を送ることができるのです。
これがなぜテレポーテーションかというと、

  1. アリスがXを観測すると量子状態が壊れる。
  2. ボブがXの情報を取り出す。

ので、Xがアリスからボブに瞬時に移動するように見えるためだと思われ。
X粒子を送りたい文章にすれば、はれて任意の文章をおくることができます。ぱちぱち。


他にも量子暗号や情報の密度などが密接に関わってくるのですが、基本的な内容はこんな感じですかね。
実際の実験でも成功してるみたいです。めんどくさいのでソースは探さないけど。
もっと知りたい!って人はこの本なんかが分かりやすくていいかもしれないです。


量子暗号

量子暗号


ね? 意外と普通でしょ? しょぼしょぼです。べつに光速より早く通信できるとか、そんなんじゃないです。
というか最近は量子コンピュータ量子テレポーテーションより量子暗号のほうがメインストリームらしいですよ。
みんな量子力学に夢持たせすぎなんですよね。
量子コンピュータだって今のところいくつかのNP問題を解けるに過ぎない程度の能力だしね。

*1:飛躍しすぎた。具体的には不確定性原理→量子状態→量子もつれ→量子テレポの順になります。

*2:べつになのはとフェイトだろうが霊夢魔理沙だろうが一向に構わないのですが、一応慣例として。

*3:厳密には少しアリス寄りにして少し早めに観測させる。